04/04/2024
2023年11月1日より、欧州特許庁(EPO)は、応答期限が設定されたEPOからの通知に適用される「10日間」の猶予期間を廃止します。
現在の規定では、EPOからの庁通知に対する応答は、通知に指定された期限から10日以内であれば、出願人に手数料が課されることなく提出することができます。現在の欧州特許条約(EPC)規則126(2)、127(2)、および131(2)によって規定されている、この「法的擬制」では、通知書はその発行日の10日後に出願人に送付されたものと仮定されます。結果として、また、通知に対する応答期間は擬制による通知日から開始するため、出願人とっては、応答提出のための10日ほどの追加期間が得られることになります。そのため、この規定はしばしば10日間の猶予期間と呼ばれます。
この規定は、期限の迫った状況にある海外の出願人や弁理士に、EPOに提出する応答が欧州の実務に適したものであるかどうかや、すべての拒絶理由に対処できているかどうかを確認するための追加の時間を与えるものであるため、これまで非常に役立ってきました。
2023年11月1日以降の新しい運用
2023年11月1日以降に発行される庁通知については、10日間の猶予期間は適用されなくなります。したがって、応答の期限は通知に記載されている通りの日付となります。
状況によっては期間の延長が可能な場合もありますが、応答期間の延長を請求するか、EPOのさらなる手続きを利用し、関連する手数料を支払うことが必要です。
法的根拠
この新しい手続きは、施行規則を変更するEPO管理理事会の決定によって発効されました。この決定とその効果は、こちら の公報に記載されています:
公報では以下のように定めています。
改正後のEPC規則126(2)および127(2)は、新しい通知日の擬制を導入しており、これによれば、郵送による通知および電子通知は当該文書の日付に行われたものと見なされます。その結果、郵便事業者に引き渡されてから10日目、または電子通信による送信から10日目に、文書が受取人に送達されたものとみなされる、現在の通知日の擬制(「10日ルール」)は2023年11月1日から廃止されます。」
ガイダンス
欧州特許庁における審査実務、特に進歩性や補正の根拠などの事項に関しては、他の区域とは大きく異なるアプローチをとることがよくあります。そのため、他の区域に適した指示が欧州での実務には必ずしも適しているとは限らず、場合によっては、EPOに提出する前に慎重に検討し、修正する必要がある場合もあります。
したがって、2023年11月1日以降、出願人には、指示を、期限前にできるだけ早く、弊所まで確実に送付いただくことが求められます。これにより、弊所にて指示を確認し、欧州の特許実務に適合していることを確認できます。さらに必要に応じて、出願人と連絡を取り、拒絶理由を解消するための別のアプローチや補正案を弊所からご提示させていただくための時間も得られます。
この度の手続きの変更に関してご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
この記事は、一般的な情報のみをお伝えするためのものです。この記事の内容は、何らかの事項に関する法律についての声明ではなく、助言に該当するものでもありません。この記事に依拠して何らかの行動を起こす前に、Reddie & Grose LLPまでお問い合わせください。